Bourbaki 数学原論 集合論 1 番外編

ここではBourbaki 数学原論 集合論 1 の 演習問題、並びに、推論法則(Cで表される。仏:Crite´re Deductif) や、本文中で証明されなかったものを適宜示す。 加えて、Bourbakiに関する小話や、現代の用語との対応についても、必要とする読者の為に、提供する。 (この番外編では、解答の制作次第、適宜掲載していく。 読者によって、私の誤りが認められた場合には、コメント部分での指摘を乞う。) S1〜S4、C1〜C21を列挙する。(Cの証明は除く) 明示的公理と非明示的公理はそれぞれ 定数 変数を有する。 定数である対象式の場合は、対象式としての文字xは、他の文字(としての対象式)には置き換えられない。 然らざる場合、つまり変数の場合には対象式xに関してその性質が真となるのならば、他の対象式としての文字に置き換え得る。 シェーマを適用することで得る関係式を非明示的公理という。 S1. \begin{align}A\end{align}が T.  の関係式ならば、関係式\begin{align}(AouA)\Rightarrow A\end{align}は T.  の公理である。 S2. \begin{align}A,B\end{align}が T. の関係式ならば、関係式\begin{align}A\Rightarrow (AouB)\end{align}は T.  の公理 S3. \begin{align}A,B\end{align}が T. の関係式ならば、関係式\begin{align}(AouB)\Rightarrow (BouA)\end{align}は T  の公理である。 S4. \begin{align}A,B,C\end{align}が T. の関係式ならば、関係式\begin{align}(A\Rightarrow B)\Rightarrow ((CouA)\Rightarrow (CouB))\end{align}は T. の公理である。 C1. (三段論法) \begin{align}A,B\end{align}を理論 T. における関係式とする。\begin{align}A,A\Rightarrow B\end{align}が T   の定理であれば、\begin{...

Bourbaki 数学原論 集合論 1

 【第四回】



第三回の続きである。

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◤解説◥

☆.1 構成手続きについて

(前原)(p.13,l.26からp.14,l.10)

第一種、第二種というのは理論T  で扱う記号についての単なる分類である。

この、第一種、第二種の記号列を構成手続きという記号列の記号列で考えれば、これらの記号列はそれぞれ、対象式、関係式であることがわかる。

従って、逆に考えると対象式、関係式を考える場合には、構成手続きの中で第一種と第二種の記号列とを考える必要がある。

例 (前原)(p.14,l.11からl.21)

          A

          A'

          A" これら三つは条件a)

         ∈AA'

         ∈AA"   これら二つは条件e)

          ¬∈AA' これは条件b)

         ∨¬∈AA" これは条件c)

           ┌────┐

        ┌─┐

        τ∨¬∈□A'∈□A" これは条件d)

である。従ってこの記号列の列は構成手続きである。

構成手続きの条件は a),e),b),c),d)の(b,c,dの順番はなんでも良い)手順で記号列Aを見ることになる。何故なら、

まず記号列Aは第一種の記号列であるから構成手続きの条件a)を満たす。

次に、構成手続きの条件として第一種の記号列が現れる条件はe)である。

さすればその記号列は第二種の記号列になる。従って、条件に第二種の記号列が現れるのは 条件b),c),d)であることから分かる。

故に、1項での例(前原)(p.11,l.22からl.26)は構成手続き中で考えれば、条件d)を適用できる。

従ってτのついた記号列となり、構成手続き中にある第一種の記号列だから、対象式となる。 

(前原)(p.14,l.22からp.15,l.5)の注意の部分

直観的には

対象式とは対象を表す記号列である。とあるが、この、対象とは直観的にいえば、数学的対象のことである。即ち、対象式とは数学的対象を表す記号列のことである。

関係式とは対象についての主張を表す記号列である。即ち、関係式とは数学的対象の関係を表す記号列である。

(以下に第二回で予言していた論理記号についての直観的な使用法を述べる。)

これらに従えば、条件a)の文字Aは数学的対象を表す記号列である。

続いて、第二回で紹介した論理記号についての直観的な解説を、構成手続きの条件に沿って進める。

条件b)のBはこれが一つの主張であれば¬Bというのも一つの主張であることを表す。(これをBの否定という)

条件c)のBとCはこれらが一つの主張であれば∨BCというのも一つの主張であることを表す。(これをBCの論理和という) 

条件b),c)の二つを組み合わせれば、⇒BCというのも一つの主張であることがわかる。(これをBはCを導くという)


条件d)のBが一つの主張であれば、τ_x(B)というのも一つの主張であることを表す。

τ_x(B)は、Bがxの或る性質を表しているものと考えれば、その性質を持つ対象が存在すれば

その性質を持つ或る一つの特別な対象を表す。然らざらば、τ_x(B)は任意の対象を表す。

(任意の対象というのは、τ_x(B)という対象がどれであるか全然分からないということである。

即ち、Bの中でτ_x(B)としての対象が、Bの中に現れるxに関してどれもこれも選ばれうる。) 

条件e)のA_1,...,A_nが対象であれば、sA_1...A_nというのも、対象A_1,...,A_nに対しての一つの主張であることを表す。

(前原)(p.15,l.6からl.9) 例の部分

≪3かつ4≫が対象式でも関係式でもないというのは、論理積("et"または"∧")が(第1章,§3,n°4のCF9により)文字A,Bが関係式の場合にのみ定義されており、

3,4という数字は対象式であるから、従って≪3かつ4≫は対象式でも関係式でもない。

(3,4という数字が対象式であることは、花谷圭人、村田全:訳 ブルバキ 数学原論 2 1969年5月30日 第1刷発行 のp.29にある注意書きによる。)


第四回 終り。







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